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私たちが遺品整理現場へ向う時は、トラックやワゴン車を使用します。
資材を載せて、時には遺品の形見分け配送も行ないますが、最近は助手席に同乗するケースが増えました。

もちろん運転は弟子がつとめるのですが、現場と会社を往復する間は、もちろん現場の作業段取りや遺品整理や福祉整理にまつわることを話題に話が進みます。
いわば貴重な勉強の時間とも言えます。

最近のテーマでいくと、大学受験シーズンですから、合格祈願などをとらえて、「天満宮」についての質問を弟子に投げかけます。
「天満宮と聞いて思い浮かべる、歴史上の人物は?」
などと質問し、
「菅原道真」との答えが出れば、
「では、菅原道真で有名な和歌は?」という、次の質問に移ります。
弟子としては第一の質問の回答でほっとしたのでしょうが、さすがに次の質問に答えることができません。

そこで、「ヒントは東西南北の風」というなげかけをしますが、結局はわからず仕舞い。
最終的に「東風(こち)吹かば 匂ひをこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」と、読み上げますが、そこでやり取りが終わったわけではありません。
さらに、何度も復唱させ、覚えるまでやり取りは続きます。
弟子にしてみるといきなり古典や歴史の勉強となり、おちおちと運転もしていられない状態になりますが、しかし、教養を身につけることは大切なことと考えて、そこはスパルタです。

行きの車中でおぼえたならば、帰りに覚えているかをきちんとチェックします。
また、拍車をかけて、以前覚えたであろう和歌も取り上げて、覚えているかのチェックをしてしまいます。

「源義家と言えば?」
こんな質問に対して、
「吹く風を 勿来の関と 思へども 道も狭にちる 山桜かな」などと、簡単に答えられるようになりました。

私たちの遺品整理というものは、時として時代と関わるものを手にしたり、見たりします。
人が生きてきた証の累積が、いつしか時代を作り、また人とともに文化や伝統が育まれてきました。
そんな分野にも目を向けないと、完璧な遺品整理はできません。
単純に家財を整理すればいいというものではなく、家財の中に潜んでいる、それを遺した人の歴史を感じ取る感性、それを養うことが遺品整理人には課せられます。

本来は遺族が寄り集まって、故人の形見分けをしていました。
その中で、自ずと遺された遺品が整理されていたのですが、時代の波にのまれて、そのあり方も大きく変わりつつあります。
最近は、「遺品整理」を営業課目に取り上げて、それを宣伝する様々な企業が出てきています。
遺族の気持ちはもとより、故人のことも考えずに、作業的に整理を行なう姿勢が蔓延しているように思えて残念です。
理想的な遺品整理、理想的な福祉整理というものを常に掲げて、これからも作業に従事していきたいものです。

ネット社会の中で、巧みにホームページを利用して営業をかけている遺品整理会社が増えています。
民間で作った資格を、いかにも公的な資格であるかのように消費者に訴える団体も出てきています。
職人気質の私的意見としては、まだまだ遺族の気持ちや故人のことを考えていない、また、指導も不十分に思えて残念です。
先日も近県での遺品整理の見積もりで、依頼者が料金体系に不案内であるのをいいことに、まさに不当な見積額を提示していました。
7tほどの遺品整理で、なんと200万円の料金提示をしていたのです。あんしんネットの見積もり料金の約4倍です。その不当な料金提示により、私が見積もりに入るまで、依頼者は気持ちが落ち着かなかったとの感想をお持ちでした。

また、先日は遠方から遺品整理で駆けつけられた遺族のお手伝いをしましたが、遺品整理だけでなく、その後に付帯するリフォームや家屋解体、さらには売買にいたるアドバイスも心を込めてさせていただきました。
そこで利益が発生するというものではありませんが、相手の気持ちを察すると、自然と身体が動いてしまうという姿勢こそが、私たちの仕事の中に求められています。
確かにそのような案件を抱えることは時間も労力も必要としますが、遺族の喜ばれる様を思えば、決して負担にはならないものです。
弟子たちにも、そのような思いを熱く受け継いでもらいたいものです。

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■「遺品整理人 谷崎藍子3~48年目の証人~」11月5日(月)よる9時放映。
あんしんネットが全面遺品整理を監修。弊社社員もドラマに出演しました。

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