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一昨年の秋口の話です。
一人の女性から会社に電話が入りました。
「自分の家財と、娘の家財を、亡くなった時に処分してもらえますか?」という内容です。

あんしんネットでは、このようなケースは、「遺品整理の生前予約」と言って、現在の家財を見積り、もしもの場合の遺品整理を承ります。

最近は、他人様に迷惑をかけたくないという思いから葬儀や遺品整理、納骨までを自分で決める人が増えてきています。
少子化や独居化に伴い、身寄りのない日本人が増えていることにも起因しますが、ほとんどが「子供に面倒をかけたくない」、「身内が姪っ子しかいないから、迷惑をかけたくない」という理由からのものです。
私の考えは、「自分が亡くなった時くらい、人様に迷惑をかけてもいいのでは」というものですから、遺品整理は作業を通じて故人を偲ぶことが絶好の機会でもあり、良かれ悪しかれ世話になる筋合いのものだと思うのです。
どうしても自分たちで運ぶことができない、もしくは処分することができない物があれば、私たちのような専門業者に依頼をかければ良いのです。

遺品整理の生前予約はあくまでもご本人のためのものであり、今回のケースとしては、自分の娘の分も含めて生前予約したいという申し出でした。
「なぜ?」という疑問から話を伺うと、数年前から娘さんは膠原病を患い、それも重度のものであり、年に半分は病院での闘病生活。医者に聞いた話では、果たしてあと何年生きていられるかというものだったそうです。
お母さんは、もともと北海道で育ち郵便局勤め。その時に知り合われたご主人との間にできた娘が難病にかかってしまったのです。
東京に就職で出てきた娘さんは、良き伴侶を見つけられ、発病以前に結婚。何不自由なく暮らしていたのです。
しかし、発病後は、入院生活の為に家事はできない、夫には迷惑をかけてしまうばかり。
そんな我が子の暮らしぶりに、両親は長年住み慣れた北海道の地を離れて、娘の近くで看病できる地へ移ることを決められたのです。
すでに65歳を超えていたのですが、たった一人の娘の将来を考えての行動であり、思いが深いからこそできたのでしょう。

しかし、こちらに出て2年後に、ご主人が癌で他界。母一人で娘を支えるには荷が重過ぎました。生来明るく、いつも笑顔で決して涙を見せない。いかに悲しい出来事があっても、物事を良い方向に考えて生活を続けられていたのです。
実際に見積もりに伺い、色々と過去の生活ぶりや娘さんとのやり取りを見ていると、心の中の温かみをかごく感じました。
良く「心は最高の財産」「心は宝」という言葉を耳にしますが、衣食住を飾り立てても、やはり第一は心の問題であると思います。
深い家族愛を目の当たりにすると、見積りも当然甘くなります。
普段から生活にリズムを持たせていることもあり、室内の家財は必要最小限に整理されています。
新しいものを購入したら古いものは処分するとの考えもあり、戸建て住居にも関わらず、約9㎥分の物量しかありません。
遺品整理はじめ軽自動車の処分、北海道にある墓地への納骨などの依頼を受けたのです。
その時に、ご自身の葬儀についてはまだ考えておらず、あんしんネットが推薦する熱血葬儀社社長も紹介しました。
「もしもの時」の備えが万全となり、お母さんは何度も「これで胸につかえていた心配がなくなった」と、喜びの言葉を口に出されます。
「年に一度はお会いしたいですね」と、別れ際に声をかけ、その日は後にしました。

時が流れ、半年前のこと。
夜も更けた頃に、お母さんから電話をいただきました。
「娘がICUに入り、もう駄目かもしれません」
「とにかく落ち着いて。まだ駄目とわかってないから、娘さんの生命力にかけるしかありませんからね」
言葉を選んでも、そのような時はいい言葉が見つからないものです。動転した気持ちを落ち着かせて、今後の対応を指示させてもらいました。

2週間後、残念ながら娘さんは帰らぬ人となりました。
現場続きで弔問に伺うことができずにいましたが、やっと四十九日忌を迎える頃に、霊前でのお参りができました。
自宅の中にポツリと小さな祭壇が設けられ、そこに娘さんの遺影と遺骨が奉安されています。ろうそくに火を灯し、線香をあげ、在りし日の娘さんを想い、しばし合掌。

お母さんは言います。
「娘が先立つということは、世間一般では親不孝って言われます。しかし、私の娘の場合は、老後の張り合いをこうして作ってくれたから、私が感謝しています。お父さんも逝って、娘も逝き、たった一人になったけど・・・・(涙)」
「一人になったとは言っても、こうして縁あって知り合った者も出てくるんですよ。命ある限りは、一人きりではないから、あとはご主人と娘さんとの想い出を大切に、生活してください」
こんな言葉しか投げかけられませんでした。
生活のアドバイスとしては、関東にいるよりは長年暮らした北海道に戻られることを勧めました。

そして、昨年の12月。
お母さんは、長年一緒に暮らした猫と共に、北海道の地へと移られました。
引越しに伴う不用品が出ますので、その回収と清掃を請け負うことになり、年末最後の現場をそこにしようと決めて現場入り。

室内にはわずかな不用品とゴミが残っていましたが、日頃の清掃が行き届いており、我々の出番があまりないじゃないか、という現場。
台所の壁には、いくつものメモがあり、その一つを手に取ると、思わず涙が出たものです。
「石見様 親子共々お世話になりました。何かの縁があったとしか考えられません。これこら仕事は程ほどに頑張って、多くの人の助けになってあげてください。今は亡き娘も、本当に石見さんのことが大好きでした。私はあと数年は北海道で頑張って生きますね。」

遺品整理をしたわけではないのですが、生前見積りで縁あって出会い、つながりを持ち、彼女の次の生活への旅立ち見送ることができました。
私たちが常日頃言っている「心の整理」。
私自身の心の整理も、含まれます。
一方通行の心の整理ではなく、常に双方向であり、そらには様々な方向へと広がっていく、そんな心の整理を、これからも続けていきたいと思います。

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