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家が崩壊の危機にあるにも関わらず、放任状態

家が崩壊の危機にあるにも関わらず、放任状態

セルフネグレクト(自己放任)に関する研究は、日本ではあまりされていませんでした。

アメリカでの研究が進んでいましたが、ここにきてやっと研究や調査が進んできたようです。

 

今回は、平成22年度に内閣府経済社会総合研究所委託事業で行なわれた、セルフネグレクト状態にある高齢者に関する調査~幸福度の視点からのアンケート結果から、現場サイドからの視点も交えて見ていきたいと思います。

 

アンケートは、全国の市町村(高齢者支援の窓口)、地域包括支援センター、民生児童委員宛に行われたものです。

総じて言えるのは、回答率が悪いという感想は持ちます。包括(41.6%)や民生委員(41.2%)でしたら、それとなく回収率は悪いかなと思えるのですが、市町村の回収も悪いというのは残念な話です(56.1%)。

 

(1)地域に支援必要な高齢者がいた場合、それらの方を把握していますか?

包括は、把握しているが38%、民生委員は69.3%

 

この数字から何が見えてくるかと言えば、包括のスタッフ数の問題により、圏域の高齢者の把握が行き届いていないということです。都内のある区では、1つの包括で9,000名の高齢者を抱えているとなれば、1職員あたり1000名~1300名をみなければいけません。仮に1日3名の居宅訪問を行なっても、すべてを回るには1年かかるということになります。

民生委員にしても、1人あたりの見守り高齢者数はかなりの人数にはなりますが、地域のそれも近隣での見守りですから、包括よりは十分に把握ができているかと思われます。

 

(2)支援の必要な高齢者の中に、「セルフネグレクト」の人はいましたか?

70%の数値で「いた」と回答。

 

これは、かなりの数で、高齢者の中にセルフネグレクトに陥っている人がいるということを数字が物語っています。

 

(3)セルフネグレクトの方の住まいは、戸建て住宅か、集合住宅か?

戸建てが68%~75%、集合住宅が18%~27%

 

戸建てに住んでいる高齢者に多いことが数字で出ています。しかし、集合住宅での高齢者は、「開かずの扉」で訪問の拒否などをするために、その正確な実態把握ができていないとも考えられます。戸建ての住居の方が、声がけはし易く、把握もできる環境であるようです。潜在的な集合住宅住まいのセルフネグレクト高齢者がいると、現場サイドは見てしまいます。

 

(4)セルフネグレクトになった時期は?

覚えていない・分からないが、21.5%

特段のきっかけはない    15.9%

疾病や入院         24%

家族間のトラブル      11.3%

身内の死          11%

その他、配偶者や家族の入所や入院、借金や金銭トラブルなどがあげられています。

 

40%強で、なった時期がわからないということは、周囲の関心も低かったということにつながります。

 

(5)支援において困難に感じた点は?

・本人の拒否

・家族の理解・協力を求めることができなかった

・何度も通う時間的負担が大きかった

 

最も支援困難に感じるのは、本人の拒否となります。包括にしても民生委員にしても、単独で本人に接しても、拒否されるケースが多く、その為に具体的な支援へと結びつきません。また、家族がいても、その家族が拒否するケースもあります。

しかし、なんといっても時間の問題です。一人の高齢者に、どれだけの時間を取ることができるかと言えば、包括にはその時間の余裕がありません。また、民生委員にしても、何度も何度も高齢者宅に通うというのは苦痛を感じる方が多いのも事実です。

周りで見守りをしても本人が拒否すれば、介入ができない

周りで見守りをしても本人が拒否すれば、介入ができない

(6)見守りネットワークが機能した?

機能した   17~19%

やや機能した 36.3~39.4%

 

全体の半分が、見守りネットワークができていれば機能したとなっています。ただし、この高齢者への見守りネットワークも、行政単位で独自の形式をとっているので、均一な見守り体制というのはありません。地域によっては、前例や体制ができていないので、機能しなかったという報告も出ています。

 

(7)本人への聞き取り調査(全国で138名に実施)

昼間の過ごし方は?に対しては、

テレビを見ている       39.1%

寝ている、うとうとしている  18.8%

 

約6割が、昼間は自宅に引きこもっている状態です。

さらにこれらの方は、慢性的な疾患を持っています(60%)

高血圧(16.7%)、糖尿(6.5%)、脳梗塞(5%)、骨折・外傷(13%)、精神疾患(5%)

 

いくつかのアンケート結果事例をあげていますが、表面的な報告で、まだまだ掘り下げがたりない気がします。

このアンケートの対象が行政の高齢福祉の窓口(高齢者支援課など)、地域包括支援センター、民生委員でした。対象の問題意識の格差がそこにはあり、またセルフネグレクトの理解度がどれほどあるのかも不透明です。専門家の間でも、定義づけや解説がまちまちという中で、介護や福祉に携わる専門職の方々に、どう理解されているのか、その辺の啓蒙活動も必要な気がします。

 

今回は、アンケート結果より現況を見てきましたが、次回は現場状況より、セルフネグレクトを考察していこうと思います。

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