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私たちが仕事をしていると、いろんな呼び名がついてしまいます。

「遺品整理人」「特殊清掃人」「福祉整理人」と様々ですが、どれにでも共通して言えることは、物の水先案内人だということです。

 

遺品の中には、必ず処分しなければいけないものや反対に残すべき物が多くあります。遺族が物を手にすると、なかなか処分に踏み切れない物が多く出てきます。

仮にそれを自分の物として取り置きしておいていても、最終的にその方が亡くなれば、残していた物は遺品となってしまいます。

こうして永遠に遺品はループ状態に巻き込まれて、いつまでも整理がつかなくなります。

そこで客観的に、しかし時には主観も交えて、遺品の行き先を導くのが、整理人として大切な役割であると、常々思うのです。

 

先日の現場のことです。

都内にお住まいの80歳代のおじいちゃんよりの依頼で、彼より先に旅立った奥様の遺品の整理依頼でした。

整理と言っても、限定された物に対してで、それは奥様が購入された洋服や使用されていてきちんとクリーニングされた綺麗な洋服についてです。

戸建の2階建ての自宅。間取りは4LDKプラス離れがあり、一人での生活では広すぎる間取りです。

中にお邪魔すると、薄らと床には埃がかぶり、高齢者にありがちな少し掃除をしていない有様でした。

洋箪笥が多くあり、引き出しを開けると、中に奥様が求められた多くの洋服がきちんと整頓されて収納されていました。

また収納部分が多く、クローゼットを開けても、全てが洋服だらけの様子。

おじいちゃんにヒアリングすると、ご本人が単身赴任で海外での生活が多く、家は留守がちであったと。さらにお子様に恵まれることがなく、単身での暮らしが長くなり、寂しさを洋服を購入することで紛らわせていたとのことです。

背景はいろいろとありますが、症状から察すると、買い物依存症と言えます。

箪笥の引き出しの中の洋服は、値札が付いたものがほとんどで、奥様もそれはおじいちゃんに「ごめんね」と、いつも謝りを入れていたそうです。

奥様は70代半ばにして癌が発病し、余命宣告を受けた時に、おじいちゃんに、「自分の洋服は、どうか海外の恵まれない国の人に、援助物資として送って下さい」と嘆願されたようです。

そのような話をしている最中に、おじいちゃんの目からは涙が落ちてきます。

そこでどうしたものかという相談となり、話し合いの結果、大阪に本部を置く衣料関係を後進国へと援助物資として送ってくれるNPOへ贈り届けることとなりました。

国内でバザーなどに引き渡すという手段もあったのですが、奥様の意思を最大限尊重して、やはり海外への援助が出された結論です。

 

居宅内の洋服で、贈れる対象となる衣類をざっとカウントしましたが、私たちが通常現場で用いる段ボールにして30箱~40箱は出るだろうと算出しました。

そうなると、はじめに行なう作業としては、それらの洋服を配送できるように段ボール梱包するところからスタートです。

また、梱包されたそれらの段ボールを、次は大阪へと届けなければいけません。

そこには配送料金も発生しますが、おじいちゃんはそれは覚悟の上と、大丈夫宣言をしてくれました。

大量の洋服の寄贈は私も初めての経験で、段取りとしてここまで決定させた後は、実際に梱包作業へと出動しました。

奥様の洋服を手にすることになりますから、できるならば女性スタッフを配置させて、丁寧に女性ならでは作業感で進みました。

約6時間をかけて、自宅に遺された全ての洋服の仕分け梱包作業は終わりました。寄付できない洋服は、45ℓの袋で15袋くらいは出ましたが、これは日常の可燃ごみでおじいちゃんが処分することにしましたから、処分費用は発生しません。

私たちスタッフ3名の作業費と資材料金、配車費用、これだけを足し合わせた金額が今回の作業代金となりました。

大阪への段ボールは、合計34箱となり、これをどうやって配送かけるかと頭を痛めるところですが、わが社は大手物流業者との提携がありますから、大阪まで配送をかけるのに、そんなに金額は発生しません。

ほぼ取引提携料金での発送をおじいちゃんに伝え、了解を求めました。いわば温情見積り提示です。

どうも相手の涙を見た時は、限りなく非営利思考になってしまう癖があり、部署の責任者としてはいけない傾向ですが、ここは仕方なしで、それで仕切ります。

問題は、受け入れ先倉庫が果たしてきちんと手続きをして受け入れてくれるものかという不安がでましたので、我々の力強い協力会社「メモリーズ」の横尾社長に談判を持ちかけて、低予算での持ち込み依頼をお願いしました。

同じ遺品整理業務を行ない、遺品の行き先をあんじるメモリーズは、快くこちらの申し出に応えてくれる運びとなりました。

数日後、おじいちゃんの離れに収納されていた34個の段ボールを、物流業者の倉庫に運び入れをして、無事、大阪のメモリーズへ送り届けました。

そして、それから4日後、メモリーズのスタッフにより、NPOへと最終的に届けられました。

メモリーズにバトンタッチ img_4824 img_4825

 

奥様の遺品は、このようにしていくらかの労力はいりましたが、故人の思いがかない、誰もが納得する場所へと向かったのです。

遺品の行き先を決めるのは、実はこんなことだと思います。

簡単に物を処分することはできます。しかし、そうしてはならない物も存在します。それをどう判断するかは、整理人の思いが強く左右してしまいます。

決して行き先を誤らせてはいけないとも感じてしまいます。

 

おじいちゃんには手紙で、無事に届いたことを報告しました。

それに対して、次のようなお礼の手紙が・・・。

「石見 良教様

早速、お手紙拝読させて頂きました。

段取り通り、ご手配、作業、スムーズに事を運んでいただきありがとうございました。

家内の仏前でその旨報告し、お陰さまで思いを達する事ができ、ほっとし、安心いたしました。

石見様の叱咤激励に促され、粗大ごみで、茶箱2ヶ(大、小)、座布団一組(4枚)とふとん2組を出すべく自分で手配し、あわせて自分の衣類も着てないものは処分するよう、心がけていこうと思います。

因みに家内はご案内の通り、整理が苦手でしたが、今後、出来るだけコツコツやっていこうと思います。

ヘルプをお願いさせていただいたときには、今回同様費用を含め、サポートよろしくお願いします。

年末も迫り寒さも一段と厳しくなりましたが、皆様、良いお年をお迎え下さい。・・・・」

 

なんとも水先案内人としては嬉しい限りです。

思いが同じ協力会社の力添えもいただけ、誰もがほのぼのとした気分になれました。

 

今回の作業は、かなりの時間を必要としました。しかし、あんしんネットは労力を惜しむことはしません。遺品整理とは、その気持ちがなければできない仕事であるとも考えています。

 

早いもので、12月も中旬を迎えました。

最近は、困難な事案が次から次に飛び込んできますが、難問を常に解決する姿勢を貫いて、日々の現場に望みたいと思います。

「遺品整理は心の整理!」

この言葉は、あんしんネットが初めに言い始めたメッセージです。

スタッフ一同心に刻み、今日も元気に現場へ駆けつけています。

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